7.初恋

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7.初恋

最後くらいは、いい想い出…かな💦 第2章で、デートは初めてと書きましたが、初恋はありました。 彼女とは、小学校から冷やかされていましたが、中学三年の四月に、お互いの親友立ち会いのもと、告白して付き合うことにしました。   ほんの一週間だけの恋愛。 その一週間は不思議なくらい色々ありました。 同クラスに、全く容姿に人気のない女子と、顔半分に火傷をした女子がいて、男子からからかわれたり、無視されたりしていました。 もちろん人並みに、気の毒に思うことはありましたが、人としては、みんな同じだから、特に気にはしていませんでした。 私は、女子も男子も不良も落ちこぼれも関係なく、誰にも同じように接してきたので、それがいけなかったのかもしれません。 1日置きに、その二人から、好きだと告白されてしまい、正直に話して断りました。 優しさが、人を悲しませることもある。 それを考えさせられました。 中学三年生は、告白するには最後の時。 勇気を出して言ってくれた彼女たちの気持ちを考えると、かなり辛かった。 でも、私に心を開いてくれたことは、本当に嬉しくも思えた。 だから、その後も次の日も、今まで通り彼女たちと過ごし、彼女たちも同じように話してくれた。 その心情は誰も分からない。 けれど、間違ってはいないと信じた。 もう一つ。 当時は、生徒会長もやっていて、副会長は、一年の時に三年生からプロポーズされる程の美人だった。 生徒会室での会議終了後のこと。 彼女がカバンから包みを出して、誕生日プレゼントをくれたのである。 どこからか、私が付き合い始めたことを知ったらしい彼女。 「ああいうのが好きだったとは、思わんかった、残念」 と言って出て行った。 そこにいた会計役の〇〇さんも、ここぞとばかりに、 「私も好きやったがやけど、日曜日にそれ買うの付き合わされて、諦めたから気にせんでええき」 と言って、彼女らしいミニ辞書をくれた。 包みの中身は、ブランコしているクマのぬいぐるみだった🧸。 それはそれで予想外であった💧 一体あの一週間は何だったのだろう? 今更ながらに、不思議である。 話を7行目まで戻す💦 付き合うことを約束し、次の土曜日に初デートの予定で、プレゼントも用意していた。 が、金曜日に帰ると、母。 「〇〇さんのお母さんから電話あって、三年生は受験があるき、付き合うのはやめてやと。あの子もええ子やけんど、女は男みたいに簡単にはいかんきね」 夕飯の準備をしながら、そう言った。 それ以上は言わず、こちらも見ない。 言わなくても分かるやろう。 その背中は、そういうことだと分かった。 彼女は、ピアノを習っていて、そっち系の進学を考えていた。 私みたいに、多分受かるやろう、兄が受かったなら…などと楽観できる道ではない。 私はすぐに彼女に電話をかけた。 「お母から、話は聞いたけど、大丈夫?」 「大丈夫。心配してくれちゅうがやき、仕方ないね」 「ちょっと遅かったね、受験失敗したらいかんきね」 「そうなんよ、うちは結構厳しいけ、頑張らんといかんき」 「頑張ろうか」 「ありがとう」 こんな様な会話をお互いに交わした。 はっきり覚えているのは、別れのはずなのに、 どちらも謝ることも、さよならもなかった。 それは、互いに間違ってはいないこと。 そして、互いを信じているから、と思う。 電話するまでは、 切なくて悲しくて、どう話そうか? 心配で、不安で、彼女はどう言うだろうか? 整理のつかないまま、でも今話さないといけないと思った。 こうして、それぞれ別の道へ進んだのである。
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