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3話 章との出会い
「あんたバカァー?」
自分自身、リアルでこのセリフが出てくるとは思っていなかった。
……が、言わざるを得ない!
「見てわかんね? 夕立とパンクで歩いて帰ってるとこ!」
「どこまで帰るの?」
「は? ……えっとー、K高校過ぎて、H町の近く」
「え? 歩いたら3時間はかかるんじゃないの? ……誰か呼んだら?」
「そんなにかかる!? でも、居候の身なので、そこは遠慮したい。……というわけで、じゃ!」
再び、肩が掴まれる。
じっとりと染みる雨水が気持ち悪くて、目を細めて振り返ると、
「オレん家、そこ。ちょうどチャリ整備してたから、直してあげるよ」
──よく、言うじゃない。
知らない人にはついていくなって。
一応あたしも都会人。
断ろうと思ってたのに、彼は自転車を奪うと、勝手に走り出していた。
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