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 そう言い放ち、テオバルドは浴槽から志貴を連れ出すと、その体を丁寧に拭った。自身の体は適当に済ませながら、志貴の手首を掴んで隣接する寝室に足早に移動する。ベッドの掛け具をはぐったところで、押し倒されるようにもつれ込んだ。  嫉妬と興奮が、色事に慣れた男から余裕を失わせている。  そのことに、志貴は仄暗い悦びを感じる。この期に及んで、この美しくしなやかな男が求めるのは自分なのだと確信できるからだ。 (それで、もう十分だ……)  しかし、物思いに耽っていられたのもそこまでだった。  テオバルドは志貴の膝裏を掴んで大きく腰を持ち上げると、その下に枕を重ねて固定したのだ。体を二つに折り曲げられた状態で、さらに脚を大きく広げられる。あまりに無防備に秘部をすべて晒す姿勢に、かっと頬に血が上った。 「テオバルド!」 「俺には確かめる権利がある。そうだろ?」  有無を言わせぬ剛い眼差しは、嫉妬に染められ反論を許さない。 「そう、だけど……ひっ⁈ やっ、やめ、そんなところっ!」  制止する声が裏返るのも無理はなかった。尻の穴に、ぬるりと濡れて生温かいもの──男の舌が触れたのだ。  浴室で執拗な洗浄に泣かされながら、男同士の性交では必要なことだと諭されひたすら耐えたが、まさかこんな目に遭わされるとは思っていなかった。妻との営みでも、前戯で女陰をやさしく刺激しても、秘部を舐めたことなどない。  テオバルドの行為は、志貴の想定の範囲を超えていた。
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