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プロローグ
マカロン、クレープ、ケーキにアイスクリーム。
全部全部私の物。
「美味しぃ~! 幸せ~!!」
王様に呼ばれたティーパーティだと言うのに私は豪華なスイーツに夢中。
ほかのご令嬢達はそんな異端児をバカにするように鼻で笑い王子様の所へ媚を売りに向かう。
「ギムレット様ぁ! 私レヴィア・トルマリンですわ!」
「私、エルメス・ビートルですわ!」
イケメンの王子様に気に入られようと皆必死だなぁ。
まぁ、僕には関係ない事だけど。
今日の僕の目的はこの豪華絢爛なスイーツ!
父上のメンツを立てるためこのお遊戯会に遊びに来たが王子の相手などするのはゴメンだ。
僕が彼のお嫁さんになるなんて、この国を終わらせる様なもんだよ。
だから醜い争いを、顔と権力にしか興味のないご令嬢達でやればいいんだよ。
「おや、お嬢様そんなにそのお菓子が美味しいかい?」
夢中でお菓子を食べる私に、知らない白髪の薬屋みたいな男が話しかけてきた。
「うん! とっても! こんな美味しいものが食べれるならまた来てあげてもいいかも!」
生意気な口を叩く私に嫌な顔せず彼は、笑顔を向ける。
「そうか、そうか! ちなみにそれ僕が作ったんだよー凄いでしょ」
「……むぐっ! このケーキ貴方が作ったの!?」
驚く私を見てさらに機嫌を良くする彼は満足そうな顔を見せる。
「凄い素晴らしいわ! こんなの食べた事ない! 貴方はとっても優れたパティシエなのね!」
私の素直な言葉のせいでふやけた顔をする彼。
「いいやぁ~実はね僕は魔法使いなんだよ、それも神様のお使いのね」
「神の……使い?」
「あぁ、スイーツを作るのは趣味だ。本業はこの国の頼れる裏方、偉大なる魔法使いラファエロ様さ!」
ヒラヒラしたマントを翻して楽しそうに自己紹介するラファエロ。
「うーん! 美味しー!」
だがそこはどうでもよかったので私は新たなスイーツを食べていた。
「あれ? 興味なし?」
キョトンする彼はモグモグと口を動かす私にもしもーしと声をかける。
「僕は優れた才能を持ったパティシエにしか興味無い。魔法使いとか知らないよ」
それが気に食わなかったのか、彼はプクッとリスみたいに頬を膨らませた。
「君は随分自分勝手なお嬢様だ。何処のおうちのお子様なんだい? グリディッシュ? それともオーバルギア?」
彼が言った家はこの国で悪名だかい貴族の名前だ。
ちなみにそこのご令嬢達は王子様にウザったいくらいに付きまとってこの会場には招待されてない。
普通に無礼だなこの男。
失礼だな御歳12歳の可憐な僕に対して。
たっく、お父様の剣の錆になれよこの胡散臭い若造。
「僕の名前は、クレア・アルマーニュ。雷撃卿グラム・アルマーニュの一人娘だよ」
僕の言葉でニヤついた顔も直ぐに強ばった恐怖を感じる顔になった。
雷撃卿グラム。
私の父は多くの国をその剣で滅ぼした最強の騎士。
国内では最も人気が高い騎士だ。
ちなみにそのおかげで爵位は侯爵、だから今日私が呼ばれたって訳だ。
「……うっそだろ、グラムの娘……!? 君が!? たっ確かにその空色の髪の毛はグラムと一緒……けど君が!? あいつにクソも性格にてないぞ!?」
「さっきから失礼だなぁ……僕は、一応侯爵令嬢で王子の花嫁候補なんだけど」
不貞腐れながらマシュマロを頬張ってそういった。
「花より団子のくせによく言うよ」
「違うわ、そもそも花なんてないのよ。あるのは薄汚れた大人の思惑だけ。彼も可哀想に、幼くして政治の操り人形だ」
「ははっ、チョコファウンテンにマシュマロを付けていうセリフじゃないね。クレア」
汚れた口を拭い、新たなフルーツを皿に取りながら
私は彼に問いかける。
「ねぇ、なんでさっきから私に絡んでくるの? 宮廷魔導師で神子のお兄さん」
「つれないなぁ、ただ面白いものが見えたから声をかけただけだよ。特に意味もない。……まぁでも、そうだなぁ……」
彼は顎に手を当てこう言った。
「僕が気に入った子は、必ずドラマティックな人生になるんだ。クレア、もしかしたら君は偉大な者になるかもしれない。だから今のうちから仲良くしておこうと思ってさ」
……その瞬間だった。
「いやああああああ!!! なんで! なんでですの!?」
「ギムレット……お前今なんと!」
女の子達の叫び声。
倒れるお嬢様や、暴れ出すお嬢様。
中には泣き出す子もいた。
それに加えありえないの言葉の嵐。
大人達が口を揃えてそう言った。
落ち着け落ち着け大人だろ?
理不尽なことがあったくらいで大袈裟だなー
ぷぷぷーなんか動物園みたい。
何も気にせず人々をバカにしていた時だった。
「聞こえなかったか? ならもう一度言ってやる!」
それは、一人の人生を変える一言。
それは、一人の人格を変える一言。
それは……
「私の婚約者にはクレア・アルマーニュ! 彼女を指名する!」
それは私を叫ばせた理不尽な一言。
「おぎゃあああああい!!?」
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