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「「「きゃああああ! グリム様ああああ!」」」 闘技場で剣を収めたら僕の名前を観客の女子達は叫んだ。 青空の聖騎士の異名を持つ僕は女子人気が高いのだ。 「応援ありがと、レディ達」 投げキッスを送るとさらに大きな黄色い歓声が湧く。 「くっそ! グリム・アルマーニュ! また女の子からモテやがって!」 「1回コテンパンに負けろー!」 「おっ、お前なんかギムレット様にメッタメッタのギッタギッタに!」 ……まぁ、男子人気は低いよね。 苦笑いで彼らには手を振り返す。 「くっそー! 父上が雷撃卿グラム様で師匠が神子ラファエロ様だからってなんだ! そんな恵まれた環境で育ったら誰だって強くなれるわバーカ! 」 相変わらず酷い妬みだ。 まぁ、あの頃よりはましか。 全く、いつになっても、目立つ奴には酷い仕打ちが待ってるってもんだぜ。 「さっきから黙ってなさいブ男達! グリム様に嫉妬してんじゃないわよ!」 「そうよ! そうよ!彼に勝てるとでも思ってるの? 彼は自ら騎士の道を幼い時に志したのよ! あんた達みたいな、その場のノリで生きてきた人間とは違うのよ恥を知りなさいバーカ!」 「はぁ!? この学校に運良く入れた平民のくせに生意気な!」 うっわ、また始まった。 飽きずにやるよ。 「おーい、君達さぁ僕に文句があるなら全員でかかって来なよ。女の子にそんな醜い顔見せるなんて精神攻撃でしかない」 「「「なんだとふざけやがって!」」」 観客席から降りてくる男子生徒達。 そして一斉に拳で僕に殴りかかってくる。 数で圧倒なんて君達にはできっこない。 ……まったく私に襲いかかってくるなんて負けたら相当恥ずかしいわよ? 「ルナ・クライシス」 手をかざし月の光を放つ。 「まぶっ!」 全てを狂わすその光は見るもの全てを惑わせる。 「はい残念僕の勝ち」 動きの止まった彼らの相手なんて容易いもの。 一瞬止まれば後は一撃を決めるだけ。 ワン・ツーさんし、お腹に背中、脇腹等にパンチとキックを決めて人の山を作る。 おっと魔法を使うのはズルとか言うなよ? 手加減してるんだからさ。 そして最後の一人に笑って首を締めてあげた。 「ギブギブギブ! やめっ!」 「むぇえー嫌だなぁ~僕がとっても、傷ついたのにぃ~これで終わりはなぁ~」 力を強めてだらだらと嫌がる素振りを見せる私。 「ぐっ! やめっ!」 「えぇ~? 聞こえないなぁ~? 僕や彼女達に言うこと他にないのぉ~?」 「そろそろ止めないか、アルマーニュ」 ノリノリで人を煽ってるのに、萎えるなあ君がくるなんて。 興がさめたから彼の拘束を解くと、怯えながら腰を抜かし座り込む僕ちゃん。 私の前に現れたのは一般生徒とは明らかに違うキラキラのオーラを纏った美男子。 女子の歓声も僕の時と同じくらい盛り上がる。 ……うっげ! なんで来てんだ王子様! 僕の勇姿なんてお前には見る意味ないだろ! 「「「きゃああああ!! ギムレット様ぁ!」」」 「ギムレット様来た! これで勝つる!」 男子に至っては僕の時と打って変わった態度を示す。 「勝つるって私は戦う訳では無いのだが」 ため息をついて彼はの呟きもオーディエンスの声でかき消される。 「まっ、まっ、まって! 待って! まてまてまてまって! やばいって! やばやばいって! 太陽の貴公子ギムレット様と青空の聖騎士グリム様が揃ってる!」 「美の暴力! あの顔面だけで私達の心はノックアウト! ひゃあああ!!」 ふへへ、うん、悪い気はしない。 「……だらしない顔になってるぞ」 「とっ、何の用ですかギムレット様。僕はただ決闘をしていただけです。何か口を挟むようなことでも」 「首を絞めるのはやりすぎだ。しかも……体を密着させるなど……」 ……むっ、まだそれを言うか。 不機嫌そうに僕にそんな事を言わないでくれるかなぁ。 私はもう君と関係ないんだし。 「クレ……」 「ギムレット様!」 大声で彼の名を呼んだせいで、彼は目ん玉を丸くして僕を見る。 「誰と間違えてるか知らないけど、いい加減にしてくれないかなぁ、僕は青空の聖騎士、清爽卿グリム・アルマーニュだ」 「……」 「心配ありがとね、我が主。でも僕それなりに強いから、この程度なら心配いらないよ~それじゃ、帰りますわご主人様。おっと、そこの雑魚A君、命拾いしたね~ギム様に感謝しなぁ~」 ヒラヒラと手を振って僕は闘技場を後にした。
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