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父上が僕に用なんてなんだろ。
最近は落ち着いているんだけどな。
なんかしたっけ。
「入るよ~」
「失礼しますって……げっ」
おいおい嘘だろ、なんで父上だけじゃなくて王様もいるんだよ!
「やぁ、久しいなグリム。最近はどうだ? 」
「はっ、はははボチボチです我が王」
やっべー! 絶対なんかした! 私!
終わった! 終わっちまったよ!
僕何やったっけ!? 記憶にございません!
なんだっけ!? あれか!? この前ふざけて訓練中にルナティックドリームトリトメギスとか叫んだこと!?
それとも、未成年なのに勝手に蔵にあった超高級ワイン飲んだこと!?
あともしかして、王様の像ちょっと壊したのバレたー!?
「なんか顔青くなってないか?」
「いっ、いえ! 大丈夫です、はい……そっ、それより父上だけだと思ってたんですが……」
「うん、ああワシが呼んだ」
おっ、終わった。
心の中で僕の足と手が地に着いた。
絶対なんかやらかしたのバレた。
もっ、もしかしなくても絶対裁かれる!
僕の存在自体ノリと勢いでできてるから、いつ裁かれても可笑しくない!
これまでの功績と実力でちょっとのやらかしも目を瞑ってくれてたけど、今回は駄目だぁ!
というか、父上が呼んだって!
チラッとラファエロ見ると目を逸らされた。
「そろそろ本題に入るか、グリム」
真剣な眼差しで僕を見る王様。
そのせいで僕は変な汗が垂れてくる。
そして父様もなんか難しい顔してるし。
「グリム、グラディウス戦争を覚えているか?」
「えぇ、はい。僕が1年前にでた戦です」
覚えてるも何も、南の国グラディウス帝国との戦争だはろ?
僕が最近暴れてきた戦場だ。
でも結局、双方倒れず停戦と言う形であの戦いは終わった。
「その活躍は目覚しいものだった……だからであろうな、お前のその姿にグラディウスの皇女が惚れた」
「はっ?」
惚れた?
キュンってくるあの?
敵国の姫だぞ!?
「ついさっき向こうの国から電報を寄越してきた。お前の国の青髪の騎士をよこせとな。そうしたら貴国と同盟を結ぶともな」
嘘だろ……この僕に!?
だから父上もあんな顔を!
「普通の騎士なら喜んで差し出すさ、だがお前を差し出すとなると色んな問題が生じる」
そっ、そりゃそうだろ女の子だし。
性別隠して向こうに挨拶しに行ったら、同盟なんて一生結べなくなるしまた戦争だ。
「ちなみに敵国の姫がこれだ」
めっ、滅茶苦茶可愛い。
金髪のブルーの瞳、この子が僕に惚れたのか……同僚に言ったら羨ましがられるな。
「名前をアルト・グラディウス。国の人気者で頭も回る、少し我儘なのが欠点だがまぁいい女じゃよ」
「その我儘が国を揺るがすってんだから大変だね~どうするグリム会いに行く?」
「行かないよ!」
僕の叫びを聞いて嬉しそうにニコニコする王様。
「うむ、その通り行かせはせん。なんせグリムお前は……」
「僕は……?」
父上が凄い嫌そうな顔をしている。
さっきから何も言わないで顔芸だけして……もっ、もしかして……
「我が息子の妻に……」
「「お断りします!!」」
王様がいい切る前に僕と父上が丁重にお断りした。
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