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これは、俺の父方の祖母の話……というよりも、身内の恥の話だ。今は二十歳を過ぎている俺だが、話は俺が生まれた当初にさかのぼる。
俺と両親は、父方の祖父母と暮らしていた。祖母は俺が初孫ということで、大変喜んだ。それはもう、とてもかわいがっていたと、母は言っている。
その証拠として、赤ちゃんのころの写真は、ほとんど祖母が撮ってくれたようだ。どうりで、ちょっと撮り方が下手な写真ばかりだなと思っていた。だが、味があるので、今でも何枚か自室に飾っている。
俺が幼稚園に入ると、忙しい両親の代わりに、祖母が通園バスに乗って帰ってくる俺を、笑顔で待ってくれていた。
「ボクちゃん、おかえりなさい」
そんなふうに。
やさしい、笑顔が素敵な、六十代前半のわりには若く見える、穏やかなおばあちゃん。祖母は、俺にとってそんな存在“だった”のだ。
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