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〜はじめに〜
残酷な描写はありませんが、
お肉料理を好きな方にはお勧めできないストーリーです
1
とある有名なレストラン、イタリアンかフレンチ。あなたはランチを食べに来店している。ご夫婦でも、恋人とでも、もちろんおひとりでもかまわない。
メイン料理は魚かお肉。あなたはお肉が好きかもしれない。若鶏のディアボラ風、鴨のコンフィ、イベリコ豚のソテー、美味しそうなメニューが並び、食欲がそそられる。
そして本日のシェフおすすめは、仔牛肉のカツレツ。あなたはそれを注文する。
しばらくして、熱々のカツレツがうやうやしく運ばれてくる。繊細な肉質、脂肪分は少なく柔らかで、しつこさのない淡白な味わいには、少し重めの白ワインを合わせる。
食後のエスプレッソの香りを楽しんでいると、シェフが挨拶にやってくる。あなたは料理を賞賛する。牛肉をこれほど柔らかく調理できるなんて知らなかった、などとお世辞半分に。すると、シェフは食材がよかったからだ、と謙遜する。あなたは、あの柔らかさはきっとメスの仔牛肉なのだろう、と言う。シェフは笑ってこう答える。仔牛肉は全てオスですよ、と。
仔牛肉は、全てオスなのか?
あなたは、心に何か引っかかるものを感じながら、店を出る。
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