0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
友と共に
修道院の自室で横になる。夜も更けて外は静かだ。
おれがこの修道院に来て、もう随分と長い時が過ぎた。かつて東の国へと旅をしたのも懐かしい思い出だ。
音楽院で歌手をして友人と過ごしたり、音楽院を出た後この修道院に入ったり、東の国へと旅して出会いがあったり、ほんとうに色々なことがあった。そんなおれの人生に、そろそろ幕が下りるのだろう。
身体が重くて動くことができない。最期のお迎えは天使様が来てくれるのだろうか。
最期のお迎えは、天使様よりもかつての友人に来て欲しい。おれが音楽院に置き去りにしてしまった、短い人生を閉じたあの友人に。
その友人がお迎えに来てくれるのなら、おれは天国でも地獄でも、どこにでも行こう。
最初のコメントを投稿しよう!