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龍馬のぶーつ像
青い空、山に囲まれて段々に家が建つ街並み。
「あー、気持ちいー」
私は船の操舵輪を模した銅像にもたれかかって、そよそよ吹く風を頬に感じていた。
自分の足が縦に二つは並ぶのではないかと思えるほど大きな銅のブーツの中で、可能な限り足を前に進める。少しでも遠くの景色を見ようと身を乗り出す。
景色を見回すついでに、ぐるんと振り返ってみたけど、後ろに並んでいる人はいない。今日はなんでもない平日だ。観光客の姿もまばら。もう少しだけ、この「龍馬のぶーつ像」を楽しませてもらおう。夏休みが九月まであるなんて、大学生って最高。
長崎。遠かった。でも、これで私の「坂本龍馬の三大聖地を巡る旅」は一応コンプリートだ。京都、高知に続く三か所目。がぜん、テンションはあがっている。
高校生の時に、推しの俳優が出ているからという理由で見た大河ドラマがきっかけだった。坂本龍馬の魅力に取りつかれた。幕末という、藩とか尊王だとか佐幕だとか、派閥でがんじがらめにならざるをえないであろう時代。そんな中でも縦横無尽、己の信念のままに生きる。そういう生き様が、響いたのだと思う。
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