ブリと僕のお散歩の旅

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僕には毛深い弟がいる。 名を、ブリアレウス、という。 僕が名付けた。由来は好きなアニメのキャラクターだ。強くてかっこいいブリアレウス。我が弟のブリアレウスは、毛深くてかわいいので、アニメのブリアレウスとは全然違うのだけど。 横文字が苦手な母は、未だ一度も『ブリアレウス』と、呼べたことがない。いつも、ブ、ブリ、ブ……と三文字目に到達しない。父が確かに長い名前だから呼びにくい、と言って、ブリアレウスは、ブリ、という愛称で呼ばれることになった。ブリ、と呼ぶと耳をぴんと立てて振り向くけど、ブリアレウス、と呼ぶと振り向かない。ブリは自分の名前をブリ、と認識したようだ。 ブリは犬のシヴァと呼ばれる品種で、四つ脚で行動する。黒々とした少し硬めの毛に覆われているが、脚の先は茶色で、お腹側の毛も白っぽく、顔は口周りから喉にかけて白く、麻呂のような眉がちょんちょんと茶色くついていて、かわいい。そして、額の真ん中には、眉と同じくらいの大きさで赤みがかった茶色の毛が生えている。かわいい。 僕たち家族は、朝と夕方の二回、ブリを散歩に連れて行く。適度に運動しないとブリにストレスがかかってしまうからだ。母がごはんを用意する時は父と僕が、父が用意する時は母と僕が、僕が用意する時は父か母が一緒に手伝ってくれて、父か母のどちらかがブリを散歩に連れて行った。 僕とブリのペアで散歩に行ったことは、未だかつてない。
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