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透も久しぶりのせいかスパートに入るのが早い。いつもはもっとあちこち触ったり弄ったり、意地悪をしたりするのに今日は…… でも僕ももう限界、気持ち良すぎて目がチカチカして、もっともっとと透にねだって、ピークまであともうちょっと──そう思っていたら、ベビーモニターの端末から「ふやぁ……」と律が泣く声がした。 一瞬透が動きを止めて、僕も止まって、息を乱しながらふたりで僕の部屋の壁の方を振り向いた。 壁の向こうとモニターのスピーカーの両方から確かに聞こえてくる、律が泣き出した声。 「ええっ!?待って……ちょっと待って、僕、もうちょっとで──」 「俺も」 動きを再開しようとしたけど、律の泣き声はすぐにマックスボリュームになって、もう僕も泣きたい~~~! 透がふふふ、と困り顔で笑い、「諦めるか」と僕の中からまだ硬いソレを抜き出した。ず、というその抵抗感が疼くような快感を内側に残して、たまらなかった。 僕は半泣きでパンツとズボンを履いて、授乳パッドが付いたメンズブラとTシャツをひっつかんで自分の部屋へ駆け込んだ。 律がタオルケットを蹴りながら泣いていた。 僕はメンズブラを着て片方の胸を出し、ベッドに上がって乳首を清浄綿で拭き、律を抱き上げて授乳態勢を取った。律はすぐに泣き止んで、期待に満ちた目で口を開けて乳首が入って来るのを待っている。 さっき出ちゃったけど大丈夫かな、と思ったけど、律に吸われるとまたキューンと張って、僕のおっぱいはごっくんごっくん音を立てて飲む律の要求に応えた。 きゅっと手を握って満足そうな律。 寸止めで辛い、僕と透…… もう片方のおっぱいを与え始める頃に透が服を着て僕の部屋に入ってきて、ふたりで顔を見合わせて忍び笑いをした。 「やられたな」 「ほんとに……なんかまだモヤモヤする」 ため息が漏れるけど、仕方がない。透はベッドに腰を下ろし、僕の授乳が終わるまで傍で見ていた。 ゲップをさせて添い寝でとんとん寝かしつけていると、透も僕の後ろに寄り添うようにおんなじ形で横になって頬杖をついた。 やっと下は収まったけど、なんとなくすっきりはしない。 でも幸せだった。 透の方も収まったみたいだけど、収まったのか、収めたのか…… 「……抜いたの?」 「久しぶりに右手に世話になった」 「え、透って、普段自分でしないの?」 透はそれには答えずに、後ろから僕のほっぺたを包んで、ふにふにと摘まんだ。 律はうとうとしながらもまだ完全には目を瞑ってなくて、僕はいつも通り、根気よく律の胸をとんとんと叩いた。 透が触ってるからか、自分が生み出す手のリズムのせいか、そのうち僕の方がうとうと眠くなってくる。 「眠た……」 「代わろうか」 「ううん、大丈夫……透、ごはんは……?」 「明日の朝に回す」 あくびを噛み殺しながら言う透の言葉に、ふと、透がご飯を食べなかった原因になった、あの新入社員の絵のことを思い出した。今なら、答えてくれるかな。透の世界の秘密を、教えてくれる……?
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