天使に出逢う道

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天使に出逢う道

この6月でもうすぐ律が2歳になる。 赤ちゃんの成長というのは日々すごくって、色んなことが1週間の中にもたくさんあって、過ぎればあっという間なのに中身はギュッと詰まってて、やっと2歳って感じもするし、もう2歳って感じもする。 思い返せば── 小さい小さい律が可愛らしい声で、あー、うー、と言い始め、首がしっかりしてきて、声を出して笑うようになり── 寝返りをして、お座りが出来るようになり、真珠のかけらみたいな歯が生えてきて── ハイハイでさかんに部屋の中を這いまわり、つかまり立ちをし、よたよたと歩き始めて……その時々をカメラに収め、透と僕とで見守って、去年6月に迎えた1歳の誕生日。 うちの両親がお祝いに、お母さんの故郷の風習である「一升餅」をするんだと大きな紅白餅を持ってやって来た。それは一升の餅を満一歳のお誕生日に背負わせるとその子は一生食うに困らないっていうもので、僕の実家では兄妹3人ともやったらしい。 ところが、いざお餅を子供用のリュックに入れて背負わせたのはいいけれど、普通の一歳児でもよろめくような重さだから律はひっくりかえった亀みたいになって大泣きして……記念に撮った律のべそっかきの写真を今見ると、その一部始終を思い出してなんとなく微笑ましい。 律は話始めるのが早くて8か月を過ぎる頃には僕のことを「まんま」と呼び始めてその感動ったらなかったんだけど、透のことは「パパだよ」と何度教えても、僕が「透」と呼ぶせいか「とぉー」と呼んだ。 「僕も透をパパって呼ぼうか。そうしたらりっちゃんも──」 「絶対、嫌。別にいいよ。とーでも」 透は僕の提案を即却下。透も「パパだよ~」とか話しかけてくれたら、りっちゃんだって覚えてくれたかもしれないのに…… 「とぉー、とぉー」 そう呼んで、手を前へ出してヨタヨタ歩きながら律が透の足元に行くと、透は無言でひょいと抱き上げて、上にやったり下にやったり、お腹をくすぐったりして律をきゃっきゃと笑わせて遊んでやる。 相変わらずクールな感じだけど、お世話は上手だし、よく遊んでくれるし、イライラして怒ったりもしないし、律にとっては100点満点のパパ。 もうじき2歳になる今では「とぉー」は「とぉる」に変化。発音的には「トオル」というより「トル」に近いような舌ったらずな感じだけど、発達としてはかなり早いらしい。お話もずいぶん上手になって、家の中はいつも賑やかだ。 子供の頃、身近にいたことがないから分からないけど、もしかしたら律はアルファなのかな?アルファはみんな、こんな感じの成長なんだろうか。
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