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リカの部屋
ピンポーン
リビングからインターホンの音が聞こえた。リカはちょっと眉をしかめ、無視を決めたのか俺の上で揺れ続けている。
ピンポンピンポンピンポーン
電子音が無遠慮に、1LDKに響く。
こんなしつこく鳴らすなんて、どんな人だろ……
インターホンは五分ほど鳴り続け、リカはイライラした様子でため息をついた。
「うるっさいなぁ、もう」
不機嫌にそう呟いただけで、応えるつもりはないらしい。寝室のカーテンは閉めてるけど、リビングは午後の光で明るいから、裸のまま出て行くわけにいかないし。
「山田さん! 開けてください! いるのはわかっているんです!」
激しくドアを叩く音に続いて、リカを呼ぶ女の声がした。俺はまだ、玄関の外から聞こえるその声の主が誰なのか、気づいていなかった。
「何よちょっと、怖いんだけど」
リカはさすがにベッドから下りて、タオルケットを体に巻いた。その背中が寝室を出て行くのを、横になったままぼんやりと見送る。裸の体を隠したかったけど、リカがタオルケットを着て行ってしまったから、せめてうつ伏せになった。
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