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連れて行かれたのは、うちのマンションの向かいの504号室。勧められるまま座った二人掛けの赤いソファから、なぜか甘ったるい匂いがしたのを覚えてる。
氷入りのお茶をテーブルに置いたリカは、窓辺に寄ってレースのカーテンを開けた。
「来て。嘘じゃないって分かるから」
そう言われてリカの隣に立つと、細い道路を挟んだ向かいの四階にある俺の部屋は、ゾッとするほどよく見えた。
「実はね、写真もあるんだ」
横を見ると、リカは楽しそうに目を細めている。
「大丈夫、誰にも見せないよ。でも、一人でするより、二人でする方が気持ちいいと思わない?」
リカはそう言って微笑みながら、ピンクの遮光カーテンをゆっくりと閉めた。
自慰なんて、みんなしてる。中学生なら誰だって。
そんなこと分かってるけど、だからって、恥ずかしくないわけじゃない。写真がある、わざわざそう言ったってことは、それを誰かに見せたりできるってことだ。
そんなのをクラスのやつらに、女子に見られたら……
想像したらもう何も考えられなくなって、俺は全部をリカの言うとおりにするしか、なかった。
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