リカの部屋

1/4
前へ
/18ページ
次へ

リカの部屋

 ピンポーン  リビングからインターホンの音が聞こえた。リカはちょっと眉をしかめ、無視を決めたのか俺の上で揺れ続けている。  ピンポンピンポンピンポーン  電子音が無遠慮に、1LDKに響く。  こんなしつこく鳴らすなんて、どんな人だろ……  インターホンは五分ほど鳴り続け、リカはイライラした様子でため息をついた。 「うるっさいなぁ、もう」  不機嫌にそう呟いただけで、応えるつもりはないらしい。寝室(こっち)のカーテンは閉めてるけど、リビングは午後の光で明るいから、裸のまま出て行くわけにいかないし。 「山田さん! 開けてください! いるのはわかっているんです!」  激しくドアを叩く音に続いて、リカを呼ぶ女の声がした。俺はまだ、玄関の外から聞こえるその声の主が誰なのか、気づいていなかった。 「何よちょっと、怖いんだけど」  リカはさすがにベッドから下りて、タオルケットを体に巻いた。その背中が寝室を出て行くのを、横になったままぼんやりと見送る。裸の体を隠したかったけど、リカがタオルケットを着て行ってしまったから、せめてうつ伏せになった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加