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ある、無口で無愛想な少女がいた。
少女は、人々が住む街にいるにもかかわらず、古びた小屋に一人で住んでいた。
そして、その小屋の外には、『一晩泊めます』という看板が建てられている。
中にいた少女がベッドに座り扉をただ見るともなく眺めていた時、その扉はゆっくりと外に向かって開いた。
「や、やあ。すまないね。一晩留めてもらえないだろうか?」
開いた扉から顔をのぞかせたのは、厚いコートを着た少年だった。
少年の髪の上には、少し雪が積もっている。
「……ええ、良いわよ」
齢が同じくらいの少年に、少女は戸惑う素振りを見せることなく応じた。
「ありがとう。この街には今日来たばかりでね」
少年は苦笑いをしながらそう言い、部屋の隅にあるハンガーラックにコートをかけた。
「君は一人なのかな?」
「……あなたこそ、一人で旅でもしてるのかしら」
「そうだね。君は旅はしたことあるのかい?」
「…………」
「…………?」
急に黙る少女に、少年は戸惑ってしまう。
外では、吹雪が忙しなく走り去っていく。
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