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<3>
撮影現場である校舎内に戻った蓮は、グイグイ乱暴に腕を引く大河に訝し気に問いかけた。
「あの・・僕、さっき監督から直に『これから二時間ほど空くから、今の内に食事をとって来て』と言われてるんですが。呼んでたのって、誰・・・うわ!」
その話が途切れるほど強い力で、蓮は資材置き場になっている一階の奥の教室に有無を言わさずに連れ込まれた。
「へへっ、呼んだのはこの俺だが?悪いかよ」
大河は無理矢理蓮を押し込むように使われていない薄暗い教室に放り込んで、自分が入った直後素早く部屋の鍵を掛けた。
蓮は咄嗟に突飛ばされ、体勢を崩しかけたがどうにか姿勢を戻し、大河を睨みつけた。
「・・ええ、悪いですよ。何で貴方にこんな所に連れ込まれなくちゃいけないんですか」
大河は薄ら笑いを浮かべたまま蓮ににじり寄り、二メートル程背後のブルーシートに包まれた資材の所まで蓮を追い詰めた。
「俺はお前と仲良くなりたいんだ。・・・まあ”性的”な意味でだけどな」
蓮は更に大河をきつく睨みつけた。
「お断りします。僕にも選ぶ権利はあると思いますから」
間髪入れずに蓮の顔の横に腕が突き立てられた。
いわゆる壁ドンの状態で、大河は顔を近づけつつ蓮を思い切り睨みつけた。
「・・イイな、そんなきつい表情も。そそるぜ、もっとして見せろ」
「嫌です。貴方とはどんな行為もお断りです。これ以上は人を呼びますよ」
「いいぜ、呼んでみせろよ」
そう言うなり急に、力任せに蓮を抱き寄せて唇を奪い、何度も舌をねじ込んで来た。
「んんぁ・・ウゥーッ・・止め・・」
「やだね」
そのままなし崩しに両腕を掴まれ、ブルーシートに押し付けられた状態で更に膝を割られ、股間に足をねじ込まれた。
「やあぁ・・・離せ!・・・ふウゥッ・・」
どうにか逃れようと抵抗するも、相手の力が強過ぎて身動きが取れない。
大河はその状態で蓮の耳元に息を吹きかけながら、
「・・良いじゃねえか。ARRIVALの奴らには一人ずつヤらせてやったんだろ? だったら俺にも楽しませてくれよ・・」
そう囁きかけつつさらに耳をしゃぶり、何度も甘噛みした。
蓮はその大河の一言にかなり動揺していた。
何故ならその話は一切口外しないという取り決めで、関係者には全員にかん口令が敷かれていた筈のトップシークレットなのだ。
それが何故、漏れ出てこの眼前の厭らしい笑みを浮かべる男の耳に入っているのか・・・。
大河は蓮の動揺を理解した上で更に畳みかける。
「おまけにそん時の赤ん坊まで産んだんだろ?あの一年半の休養はそう云う事だったんだろ? そんじゃ~よっぽどそん時のセックスが良かったんだな~。なあ・・要はそんだけ男に襲われるのも抱かれるのも気持ち良くて堪らなかったから”初セックス記念”に子供まで産んじゃったんだろ?だったら俺がもっと気持ちい思いさせてやるから、そう意地を張るなって」
「ウ・・うわああぁぁ!」
蓮は顔を真っ赤にして、渾身の力で大河を突飛ばした。
突飛ばされた大河は、一瞬驚いた表情を見せたが次第に顔を曇らせ
「おいおい・・・こりゃ無いだろ」
蓮を氷のような表状で睨みつけた。
当の蓮は涙目でシャツの襟元を必死に押さえ、ハアハアと肩で息をしながらその場にへたり込んでしまった。
大河は蓮を見下ろしながら、
「だとしたらさぁ・・清純派なんてとんでもないインチキだよな? なあ、ビッチのオメガさんよぉ? お前も所詮は男に抱かれるのがイイんだろ? チンコ突っ込まれるのが堪んねえんだろ? だったら素直にそう言えよ、あぁ?!」
そう冷たく吐き捨てた。
「違う、違う、違う・・・・・!」
蓮は必死に首を横に振って否定するのだが・・。
その眼前に大河はしゃがみ込んで、俯く蓮の顎を無理矢理引き上げた。
そして蓮を睨みつけつつ
「何が違うんだよ。じゃあ今すぐパンツ引き下ろして俺に見せろ。お前のだらしねえケツから垂れる涎を見てやるよ。ほら、さっさと見せろよ!」
そう薄ら笑いを浮かべ、蔑むように吐き捨てた。
それでも蓮は、肩を震わせ涙を浮かべながらも大河を睨みつけた。
「・・・・嫌だ、アンタに何が分かる。僕だって好きでオメガに生まれた訳じゃ無い・・。僕の苦悩を知らない奴なんかに、僕は決して屈したりしない」
その涙ながらの必死な表情を、大河は嘲笑うかのように
「だがそれがお前等オメガってもんだろ? だったらいい加減諦めて、アルファの餌食になれよ。俺が美味しくいただいてやるから、な?」
蓮の泣き顔に向かって更なる暴言を吐いた。
直後大河は不気味な薄ら笑いを浮かべたままゆっくり立ちあがり、扉に向かって歩くと鍵を開けてガラリと扉を開いた。
「まぁ・・俺も鬼じゃないんでな、覚悟する時間位持たせてやる。だが次はお前がどう言おうが俺はお前を抱いて俺のモノにする。これは決定事項だ、いいな?」
蓮は震える身体を必死に起こし、ゆっくりと立ち上がりながらなおも大河を睨みつけた。
「・・・・冗談!アンタなんかの物になんか、絶対にならない」
「・・粋がってのたまう割に、足が震えてるぜ?」
「五月蠅い!」
「・・・フン、良い度胸だ」
大河はそのまま元来た方に立ち去っていってしまった。
蓮は震えたまま・・その場にまたへたり込んでしまった。
「・・ウっ・・・うううっ・・・・」
そのまま静かに泣く蓮の許に、息を切らせた輝がやって来た。
「良かったぁ~探したんだぞ蓮。・・っておい、お前・・・泣いてるのか?」
蓮の顔を覗き込もうとしゃがみ込んだ輝に、咄嗟に蓮がしがみついて泣きじゃくった。
「うあ・・っああああ・・・うあああ・・・ッ」
「お、おい蓮・・・」
しがみつかれて倒れそうになったものの、どうにか輝は踏みとどまった。
蓮は周囲に聞こえぬ様に輝の胸に顔を埋めて、小さく呻き声を上げながら暫く泣いたままだった。
「・・蓮が泣いてるのなんて、演技以外見た事無かったからなぁ。流石にビビったわぁ・・」
輝は全裸でベッドから立ち上がり、振り返ってベッドに仰向けに寝そべってスマホを弄っている人物に目配せしつつ、ぼそりと呟いた。
そしてベッドサイドの冷蔵庫を開け、ペットボトルの水を一本取り出した。
そのペットボトルのキャップを無造作に外し、一気に喉に流し込む。
「ああ、俺にも一本くれ」
「分かった」
一本丸々飲み終えた輝はもう一度冷蔵庫を開けて、同じブランドのペットボトルを取り出すとそれを寝転がる人物に放り投げた。
「ほら、それでいい?」
「サンキュ」
輝は軽く手を上げて返事を返すと、その隣に置かれたゴミ箱に空になったペットボトルを放り込んだ。
そして薄く開いたカーテンの隙間から夜空をじっと眺めた。
その場所は舘山寺温泉の旅館、弁天楼。
ZEXのタレントとスタッフ用に借り上げられた旅館の一室である。
輝は撮影終わり、蓮を迎えに来たヨアンの車にお情けで同乗させてもらい、柊子の民宿に辿り着いた後、一旦着替えて弁天楼までタクシーでやって来ていた。
現在の時刻は既に午前一時。
流石にもう皆寝静まっているのか、物音一つ聞こえては来ない。
「・・・蓮、大丈夫かな」
置いて来てしまった蓮が、今更ながら心配になった。
「アイツ、ガキの頃からプロ意識高すぎるくらい高いからな・・。俺等も随分アイツから学ばせて貰ったもんだ」
スマホをスライドしつつそう呟いているのは、巴亜蘭。
ちなみに亜蘭も全裸だ。
すでに事後なのか・・ベッドサイドのゴミ箱には使い終わったティッシュ、その山の上には中に液体が溜まり、口元が縛られたピンクのゴムが二つ乗っている。
二人が身に付けていた物と思しきものは、ソファに全て脱ぎ捨てられて積み上げられている状態。
「まあ・・考えてみれば、アイツが泣いてるのなんて見た事無いな。大抵無理してでも笑ってるしな」
「だろ? だから俺も焦って『何だ、どうしたのか言ってみろ』って何度も尋ねたんだけど。アイツ結局何も言わなかった・・・」
輝はそう言うと、項垂れてベッドサイドに座り切んでしまった。
その輝の背を、スマホを放り投げて半身を起こした亜蘭が背後からそっと抱きしめた。
「そう嘆くなきらり。アイツにもきっとなんか思う所が有るんだろ。明日には来人達も合流するから、お前はなるべく蓮に付いていてやれ」
「・・うん、そうする」
亜蘭は輝の首筋に舌を這わせ、何度も甘噛みして軽く歯を肌に立てる事を繰り返していた。
「・・・未だし足り無い。お前があんまり可愛いから、また勃って来た・・」
「ばっ・・・お前!だ・か・ら!俺みたいなゴツイ奴に『可愛い』とか抜かすなぁ!」
そう言う輝は照れて顔は真っ赤、身体は微かに震えている。
「ほら、そういう所。うぶでカワイイ~」
「カ、カワイイって・・・うわぁ!」
亜蘭はその真っ赤に染まった輝の頬にキスして輝を背後に引き倒した。
「なあもう限界なんだけど。ゴム無しだけど、生で挿入るけどいいか?」
輝は上に圧し掛かって来た亜蘭に一瞬目を丸くしたものの、無言で頷いた。
「いっただっきま~す」
その言葉と同時に膝裏を軽々持ち上げられ、亜蘭のカチカチに反り返った股間の肉茎
が濡れそぼった輝の窪みに一気に「ずぶん」と呑み込まれていった。
「うアぁ・・!」
輝は組み敷かれた亜蘭の下で小さな悲鳴を上げた。
その背は快感に震え、激しく撓っている。
その時の筋肉の収縮と痙攣が余程気持ち良かったのか、亜蘭から笑みがこぼれた。
「うわ~メッチャ膣が締まって痙攣してる。中トロットロ、超気持ち良いんだけど」
「ふうっ・・・!だ、だって、さっきしたばっか・・うあ!」
輝が話を終わらせる前に、急に激しすぎる突きが始まった。
「舌噛むぞ、口閉じてろよ」
「ンううウゥ・・・」
ばちゅっ、ばちゅっ、ばちゅっ・・・・
緩い拍手位のスピードで何度も激しく突き上げられ、そして力任せに引き抜かれる。
数分もしない内に、輝が悲鳴を上げた。
「はぁあ・・・あああ!もう、イっちゃ・・ウああぁ!」
そう言い終わらぬ内に、輝の身体は激しく撓り・・何度も身体が震えた。
輝の股間の肉茎が「もう限界!」・・とでも言わんばかりに白濁した粘液を亜蘭の腹に撒き散らす。
亜蘭はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべて
「オイオ~イ、早くね?俺未だなんだけど~」
と言うと、更にスピードを上げた。
「~~~~~~~~~~ッ!」
じゅっ、ずっ、じゅっ、じゅっ、ずっ、ずずっ、ずっずっ・・・
輝は声にならない悲鳴を上げて、何度も背を撓らせる。
窪みからは白濁した粘液が幾筋も白糸の様に糸を引きつつ垂れ、股間を滴り落ちて行く。
もう何度目かの絶頂、堪ら亡くなった輝は咄嗟に亜蘭の身体に必死にしがみついた。
「も・・・もう無理!もう・・・・ッ」
輝が半泣きの状態でそう叫んだ時・・同時に輝の膣も痙攣して亜蘭の物をきつく締め上げた。
「うわ!それ反則・・・・ッ」
その小さな呻きと共に、亜蘭が強く輝を抱きしめた。
・・トクン、トクン・・・ドクッドク・・・
「ハアァ・・・あったかい・・」
輝が涙目で亜蘭に笑いかけた。
「やっぱカワイイ、お前」
亜蘭は輝を抱きしめながら何度もフレンチ・キスとディープキスを繰り返した。
事後に二人でシャワーを浴びながら、亜蘭が背後から輝に問いかける。
「なあ、あれから調子はどうだ? フェロモン随分落ち着いて来たみたいだけど」
「ああ。お前に定期的に抱いて貰っているお陰で、薬も前より弱いヤツで済むようになって来た。ただ、今度はピルが欠かせなくなっちまったけど・・」
そう言って股間を覗き込む輝の内腿を・・白い粘液が今も伝って落ちている。
「うっわ、エロ・・・。なあ、栓してやろうか?」
亜蘭が後ろから輝の身体をさすりながら・・意地悪そうに笑いかけた。
それと同時に、指が窪みの入り口を弄り始めた。
もう片方は、輝の肉茎を緩く扱く。
流石に触られた瞬間、輝が絶叫して飛び上がった。
「ふぅわあぁ! もう、やめろって・・」
「いいだろ? これはお・く・す・り。減るもんじゃないし、俺まだ足りないんだわ」
そう言い終わるか終わらないかの間に、指が肉茎にすり替わる。
またも侵入して来た、熱い肉の塊に・・輝は身体を震わせた。
「・・クッソ、どんだけ性欲有り余ってるんだよ! きっれーな顔してるくせに、チンコ俺よりでかいし、回数えげつねえし・・ふウウッ」
「そりゃどうも~。だってお前と過ごすために俺、仕事頑張ってるんだもん。しかも可愛いお前からそんな事言われて、またヤル気が漲って来たわ~」
「じょっ、冗談・・!漲らすな~!」
「またまたぁ~、俺とお前の仲だろ?遠慮は禁物だぜ?」
「してない!・・っつーかお前が遠慮しろ~~ッ」
「無・理~」
・・・翌朝まで輝はベッドから解放される事は無く、早朝飛び乗る様にタクシーに乗って柊子の民宿まで戻った時には、輝は完全に死んでいた・・・・。
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