お父さん、ヘルタースケルターだねっ♡

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お父さん、ヘルタースケルターだねっ♡

お父さんは私に美森という名前をくれた。 お母さんは本当は友理奈、とか愛実、とかオシャレな名前をつけたかったらしいけど、お父さんはお母さんの名前を一文字私につけたかったらしい。それと、自分の名前が守、だったから。 「お父さんはね、お前が豊かな緑あふれる森のように育って欲しくてこの名前をつけたんだよ。美しい森。美森。ねえ、美森。大きくなってお前を守ってくれる男の人をお前が見つけるまで僕が守ってあげるからね……。大好きだよ」 小さい頃からお父さんは私にそんなことを言って育ててくれた。 豊かな森、小さく芽吹いた若葉の時から私はお父さんに育ててもらった。 もちろんお母さんも大好きだ。 でも、でも、でも。 聞いてほしい。 私の心がどうしたら高鳴るのか。 私の小さな胸が弾けそうなくらいに嬉しくなるって、どういう時なのか。 それは、それは。 「私を守るって言っていたお父さんが、どろどろにとろけて、男に抱かれている所。そう、言ったらお父さんはどう思う?」 そんなことを言う娘を持って可哀そう、なのか。お父さんの血筋なのか。 それとも、これはお母さんの血なのか? 多分そうではなくてこれは。 お父さんを家に連れ込むなり、私達はお父さんの洋服を全部剥いだ。林なんかは一番にお父さん愛用の猫のエプロンを剥ぎ取ると忌々しそうに胸ポケットから小型のナイフを取り出してビリビリに引き裂いてしまった。その間に私はお父さんのベルトを外して、ズボンを脱がせて。やめろ、と懇願するお父さんの下着も脱がせてしまうとお父さんはインターネットで無料で視聴できるエロ動画で見る男のどのチンポよりも綺麗で瑞々しかった。黒々としているよりは、赤黒い方が私は好きだ。 猫なんか大嫌いだ、馬鹿野郎と言いながら狂ったようにエプロンを滅多刺しにしている林に私はなれなれしく話しかけた。 「ねえ、あんた。靴下はどうするの?」 「靴下あ?」 「だからフェチズムの話」 「……ああ、俺はどちらでもいいよ。お前に任せる」 「じゃあ履かせておこう。ワイシャツは……」 「まどろっこしいのは嫌いなんだよ。オプションなんかいらねえんだ。とっとと犯そうぜ」 「ベッド行こうよ、こんな玄関でするの、私は嫌だな」 「……別にお前が犯されるわけじゃないじゃんか」 「あのねえ……、結局セックスするんだから。どうせなら痛くない所でしようって言ってるの」 「それはいいけど、どっちで?」 「どっち?」 「お前のベッドか、夫婦のベッド」 「ああ……」 そうか、と思って私が考え込んでいると、身動きのとれない靴下だけ身に着けたお父さんが弱弱しくやめなさい、と言った。
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