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   俺、湊ゆうきは今年の春に大学二年になり、一人暮らし歴はこの八月で一年と五か月目に突入する。  一年目は講義にバイトにサークルにと、目まぐるしい日々を送っていたおかげで家の中のことにかまってる暇はなく、ワンルームの部屋がごちゃごちゃでも平気だった。が、二年目ともなるといくらか余裕が出てきて、部屋の中を充実させようか、という気になってきた。  部屋で目立つ家具と言えば、布団と、ハンガーラック、それにホームセンターで買ったプラスチック製の箪笥がひと竿、といった具合で、収納が全く足りていないのだ。  ――というのは表向きの口実。  実をいうと、女子受けする部屋にしたい、というのが真の目的だった。  この間男女五人連れで宅飲みにやってきた、同じサークルの平子さんが部屋に入るなり言った 「なんにも無くって男子の部屋ってかんじだねー」  の一言がこの二週間、耳にこびりついて離れない。  ともかく俺は一念発起し、自分で組み立て可能な、ラックにもカウンターにもなるタイプの棚を、壁一面に備え付けることにした。天井から床まで柱をいれるような、かなり本格的なやつだ。  その柱に洒落た観葉植物でもあしらえば、今度こそ平子さんの心を掴めるかもしれない――。  妄想にふけりつつ、俺は柱やそのほかのパーツを、オンラインショップの買い物かごに入れていった。  それから三日後には、最初のパーツ――カウンター部分の天板が届いた。パーツはそれぞれが納品次第別々に発送されるみたいだった。まるでデアゴ〇ティーニみたいで少しわくわくする。  届けてくれた配達員の若い男の人は、真夏なのに涼しい顔でずっしり重い天板三枚を運んでくれた。たっぱはあってもひょろ長い俺とは全くものが違う。細マッチョな配達員さんがちょっとうらやましい。 (棚が完成したら、今度は懸垂マシンでも買うかな)  半ば本気で考える。
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