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◆◆◆◆  面会の日からひと月ほど経ったころ、伊丹さんから連絡があった。    事務所に出向いた俺は、この間の部屋に案内された。  少し経ってからやってきた伊丹さんは、俺に向かって、前に言っていたとおり情状証人になってほしいのだと話した。  俺が了解すると伊丹さんは、少しの間思案顔でうつむいた。  彼は顔を上げると、もう一度、佐々木さんが帰ってからの流れを話してくれないかと言った。  俺は覚えているままを話した。  あの日――手錠を破ろうと必死になっていた清水を、祥吾が手に持った灰皿で後ろから殴りつけたこと。そのあと、倒れ込んだ清水と行為をするように祥吾が言い、自分は言われるまま瀕死の清水と行為に及んだこと。  思い返してみても、とてもまともな人間のすることではなかった。それでも味方になってくれている伊丹さんの手前、事実と異なることを話すわけにはいかないと思った。  聞き終えると、伊丹さんは銀縁の奥から静かに俺を見た。 「刑の軽重は、遺族感情というものにも左右されます」  彼はゆっくりと手を組み替えた。 「今、湊さんが話したような内容を聞けば、遺族の方が感情を害することになるのは、間違いないと言っていいと思います」 「―――はい」 「そこで、ですが―――」  俺は話される内容を聞き漏らすまいと、わずかに身を傾けた。
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