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 新しく迎え入れた人形は金髪のウェービーロングヘア―の少女、めいだ。  これで私の部屋には1000体の人形が揃った。  1000体の人形をお世話するのは、骨が折れる作業ではあるけど、身も心も人形に捧げているので、それくらい平気だ。中華屋が毎日餃子を1000個包むのが当たり前のように、私にとって毎日人形にはたきをかけ埃を払い、ウィッグを櫛で梳かし、シリコンスプレーをかけもつれをほぐし整えるのは日常の風景だった。  並んだ1000体の人形を前に、私は寝ころんだ。ここまで集めるのに随分時を要した。私は自分の中に1000の人格があることに気づいた日から、こうして一人一人を見分けるため、私の代わりになる人形を集めていたのだ。人形1体1体に名前もあった。みか、はづき、ともえ、かなこ、みほ、あかり、ゆき、りん、りょうこ……。よしのぶ、ひろき、やすひろ、ひろし、じろう、れん、ゆきひろ……。女、男に分け隔てはなかった。すべて私の分身であり、実際に存在している人格だった。  
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