部品が理不尽!

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「という訳で、オレどうしたらいいと思う?」 「まって、いきなりどうしたの?」  光速で去りそして光速で眼前に現れた優乃にびっくりさせられたヒバリは、どこかのやってはいけないしくじりをしてやらかした会社社長か役員どもが、居並ぶ記者の前で行う謝罪表明の気持ちを世間の皆々様へと御伝える最終手段。  日本国が世界に誇る渾身の謝罪作品【土下座】  を、敢行する気持ちはサラサラなく。  ふてぶてしい面持ちでゴキュゴキュと、ヒバリの前から駆け出した途端に落っことしていたペットボトルの麦茶を拾い上げて保管してくれていたヒバリの目前で腰に手を当てて飲み干しつつ、翔が抱え込まされた仕事の解決策の伝授を賢いヒバリに頼み込もうと試みていた。 「……つまり、僕に手助けをタダで依頼しているんだね?」 「なんだ?もしかして報酬でも欲しいのか?この強欲め」 「強欲なのは優乃の方だよ♪」  優乃のノープランのクセに強気で理不尽すぎる申し出をクスクス笑い、昔からバカだった親友の願いを結局二つ返事で叶えることにしてあげた。 「要するに、正体不明のソレ。うーん、ヒビが入ってるコレをココに送ることが、もしかして優乃の頼み事のすべてなの?」 「そうだ」 「なら、とっととコレ、ポストに出せばいいじゃない?」 「だがしかーし!封筒には送付なんとかも手紙もない。翔はいきなり生徒会長から『送っといて』と手渡されただけで、どうしていいか分からず、オレもどうしていいかわからないぞ!」 「あ〜そうなのね。ちなみに送付なんとかは送付状のことね」  中身の金属部品を取り出して、ペラペラになった封筒を右手にヒラヒラさせて、「ふーん。へ〜」と左手に掴んだ金属と見比べつつ言った。 「じゃあさ、取り敢えずこの住所の会社。調べてみようか」  ヒバリをスマホと金属部品を交換してピロピロ検索を開始する。 「あった。へ〜機械金属加工メーカーなんだね」  ヒバリが調べた会社は隣の県の“株式会社 日の丸金属”。  扱ってる業務内容はCNC旋盤の部品の加工製造、IT関連製造装置部品の製造、自動車部品の加工製造、食品加工機械の製造販売、航空機部品の加工製造、オーダーメイド製品の開発・部品加工製造などなど……。 「流石は金属加工一筋70年の老舗メーカー。取り扱いが多くてよくわかんないや。直接この会社に部品のサイズや形を撮影してメールに添付して送信するか、これこれの部品を送るので交換して欲しいです。とかって、電話するかで仕事は済むと思うんだけど、そもそもこの子(金属部品)が使われてた機械ってなんなのか、この子をどうしたいのか、封筒に送付状も手紙も入ってないからわからないね。ところで生徒会長か、もしくは他の生徒会の誰かに内容聞いてる?」  ブンブンブン。  コキンと頸骨(けいこつ・首の骨)をひねって折りそうな勢いで首をふり、なんにも考えてなさそうな純真だけど、どこか不安げな眼差しでヒバリの眼をジット見つめる。  まるで指示待ちの飼い犬のようだと、ヒバリは思った。 「よし!軍師ヒバリから優乃三等兵に作戦を伝達するよ!」  バッ!  両足を肩幅に開き両手を腰に回して佇立(ちょりつ)したポンコツロボット(けん)の三等兵は、軍師殿からのありがたい指令を傾聴する姿勢を示した。 「命令!優乃犬四等兵は速やかに生徒会長を見つけて話を聞いて来い!」 「参謀ヒバリ殿!了解した!いってく〜〜よ!」  ┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨ ┣¨┣¨!!  犬扱いされたことも、階級が四等兵にサラッと降格されたことも気づかぬママ、優乃は背中に残像でも背負ったような勢いでもってもと来た道を瞬間移動的に走って消えていった。 「元気だなー。でもはじめから会長に聞きに行けばいいのに流石はポンコツカップル。まあでも、それでもお似合いなんだけどね。あと僕の役職は軍師ね」  ヒバリは足元に落ちていた小石を拾って、トイレのコンクリの壁にコツンとぶつけた。
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