100人が本棚に入れています
本棚に追加
/540ページ
佐奈は俺を好きで、信じてくれている。
でも、好きだからこそ何もかもが気になって仕方がない。
穏やかで優しい彼女だけれど、こんなにも手の平は熱く、俺を求めている。
馴れ合いじゃない、緊張感があるからこそ求める気持ちが強くなる。
「不思議の正体は、恋心だ」
「えっ」
肩を抱き寄せると、そっと見上げる恋人に微笑み、キスをした。
「東野君」
「俺の欲しいもの、わかるよな」
「あ、あの……」
恋をしたから、こんなにも重なり合い、分かり合える。
でも、この胸の昂りは、好きでしょうがなくて、求める想いがあるからこそ止まらない。
腰に腕をまわし、もう遠慮しないで俺のものにする。
君の恋を、身体と心で実感する、特別な夜なんだ。
「わからなければ、教えてあげるよ」
灯りを消して、柔らかな胸に顔を埋めた。
<終>
最初のコメントを投稿しよう!