大好きなひと

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「君は、大人になった。すごくきれいな大人の女性になったと思う」 「え、わ、私が?」  微かに頬を染めて頷く彼に、私も照れてしまう。 というより、そんなこと言われるなんて予測も出来ず、全然頭になくて混乱しそうだった。 「お、大人になったのは東野君だよ。私は全然、まだまだそれこそ子供だし、外見だって、お化粧も下手だし、髪型も変わらないし」 「佐奈」  私の手をとると、ぎゅっと握った。  言いわけ無用の熱情に包まれ、正面から向き合うほかない。  彼は本気なのだ。 「恋人として、俺のことを呼んでほしいんだ。上手く言えないけど、これまでよりももっと……ずっと強く君を求めているから」  あの夏を思い出す。  未来への岐路に立ち、ともに歩んでいくのだと確かめ合った夏の日を―― 「わ……渉さん」  彼の瞳は動かない。それでは納得できないということだ。  それなら、こうだろうか。  もし、許されるのなら私も呼びたい。 「渉」
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