ママの突撃

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ママの突撃

東京都原宿の超高層億ションのペントハウスに、私立狐霊堂学園1年の超セレブJK、勘解由小路莉里(リリ)は、ペットに囲まれて生活していた。 人を駄目にするソファーの上で、腹の上にモフモフの動物を乗せて鼾をかいていた。 その寝姿を、ハアハアしながら見つめていたペットが1人いたという話だった。 「ああ♡上下するリリちゃんのメガおっぱい♡凄いいい匂い♡ムニコリしたいよリリぱい♡僕のミニワンちゃんがリリちゃんの奥でビューってしたがってるよ♡リリちゃんの奥がコリッコリでああもう♡」 「そこまでにしなさい。メル殿」 止められて、膨れっ面のメルは言った。 「邪魔しないでよリエモン君。僕達友達だろ?解るよ。今日リリちゃんの赤ちゃん部屋は、僕達の子供が出来やすい日だって匂いがするんだよ」 「ならば尚更大人しくなされよ。我等モフモフの頂く神狐姫(しんこひめ)、勘解由小路莉里様は安らかにお眠り遊ばされているご様子にて。そのような品性に欠ける行いはご法度でございます」 「そんな馬鹿な!フェリックス君は9才で赤ちゃん作れたのに!きっと僕だってリリちゃんをママに!ママに出来るんだい!」 「笑止。お下がりやれメル殿。眠った娘を手込めにするは外道の所業なり。すぐにお帰りやれ。駿馬(しゅんめ)の如く」 「こればっかりは譲れないよ。僕と本気で戦って勝てると思うの?」 ゆったりとした上着が微かに揺れた。 メルは人間武器庫。ゆったりとした上着は、多種多様な武器を格納しているのだった。 「確かに、メル殿は稀代の暗器使い。初めて会うた時、9才にして恐るべき暗殺者としての素養を。父上殿に似ておいでか。されど、(わたくし)機辺沼(はたべぬま)古狸(こり)(おさ)狸右衛門。八百八狸(はっぴゃくやたぬき)を束ねし隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)が末裔でございます。更に」 狸右衛門の周りに、いつしか子供達が集まり、牙を剥いていた。 「この建物は、莉里様の勢力圏にて、周囲に住まいし全ての妖魅禽獣は莉里様を守護奉ります。オン・マリシエイ・ソワカ」 更に摩利支天(まりしてん)の真言が、莉里の周囲を幻で包んだ。 メルの血が、ゆっくりと冷めていった。 懐の暗器に手が触れ、静かな殺気が研ぎ澄まされようとした時、 「何してるの?メル」 「ああ!あああ!ああああああああ!!!ママあああああああああ?!」 朝起きたら馬の首が転がっていたような悲鳴を上げた。 ところで莉里はグースカ寝ていた。 「っていうか大体解る。女の子は隙見せたら負け。でも、この子には隙がない。隙がない子に迫ったメルの負け。何をしようとしてるの?使い魔召喚。ヴァスカン・ナーダ」 「い、嫌あああああああああ?!」 人んちで、メルは悲鳴を上げて腰を抜かしていた。 やっぱり莉里は鼾をかいていた。
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