カナメとジェイミーとシンゴ

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カナメとジェイミーとシンゴ

「はい、それじゃ、背の順に並んでー!」  ナツミ先生が声をかけると、年長クラスのあちこちで背比べが始まる。  年少・年中まではずっと1番先頭がシンゴ、2番目はカナメだった。  しかし、4月。新しい年長クラスで背の順に並ぶと、シンゴとカナメの間に1人挟まった。 「おまえ、だれ? カナメが無遠慮に話しかける。 シンゴも興味津々で振り向いた。 「お、おいら、ジェイミー」 その子は二人の熱い視線を一身に受けて、真っ赤になりながら名乗った。 「ジェイミーか! 確か兄ちゃんの国語の教科書に載ってたぞ! おまえ、魚なのか?」 「カナメ、それ多分ジェイミーじゃなくて※スイミーだぞ。どう見てもこいつ黒じゃなくて白だもん」 「いや、まずどう見ても魚じゃないだろって突っ込んでくれない?」 ※スイミー アメリカの絵本作家レオ・レオニ作の絵本。 主人公のスイミーは黒い魚。
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