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ジェットは十八歳になった。通っていた王立学園では、目が見えなくなってからも良い成績を残し、主席で卒業。学園長をはじめ、先生達は、王城の花形部署、魔導品開発部への推薦状をこぞってしたためたが、実際に配属されたのは、魔導品制作部だった。
一方、同じ学園に通い、同級生でもあったレドメーヌは、魔導品開発部に就職。この手の授業は全く得意ではなかったはずなのに、どうしてジェットを差し置いて開発部に入ってしまったのか。
それは、第二婦人の実家からもたらされた多額の寄付金。そして、「目の見えない兄が迷惑をかけないよう、代わりに優秀な弟を差し出す」といった公爵の手紙があったかららしい。
ジェットは、実力もないのにズルをして主席を名乗る、出来損ないの兄として扱われ、魔導品制作部では、下っ端も、下っ端。まるで奴隷のような扱いでスタートした。
これには、さすがのジェットもまいってしまった。
義母や義弟だけでなく、父親もいよいよ本格的にジェットに手を下し始めたという事実は、深い傷となる。
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