12人が本棚に入れています
本棚に追加
食堂で愚痴
「触ってほしいなんて、どう考えても変態でしょ?」
お昼休みだ。ルチルは、食堂にいた。きのこたっぷりシチューをがっつきながら、今朝の話をしている。目は完全に死んでいた。ちなみに、シチューが不味いわけではない。貴族も満足する味だ。
「別に無底な真似をされたわけではないのでしょう?」
「えぇ」
長机の向かい側に座り、愚痴を聞いているのはセレナという娘。ルチルの職場の後輩だ。
見た目の可憐さからは考えられない程の力持ちで、近年稀に見る「使える」若い女性である。いつもルチルは心の中で「天使」と呼んでいた。こうして、昼間っから骨付き肉を頬張っていなければ、完璧な儚げ美女だ。
彼女が資材部へやってきたのは三年前。その見た目から、自分よりもかなり年下だとルチルは考えているが、実年齢は分からない。判明しているのは、男爵令嬢だということだけ。
最初のコメントを投稿しよう!