盲目の青年との出会い

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 ルチルの両親は、発掘者から石を適正価格で流してもらい、さらには特殊な加工をして販売していた。ルチルには、幼い頃から石の見分け方、知識、加工の方法に至るまで、しっかりと教え込まれていたので、モリオンとの会話にも困ることもなく。むしろ、『蔵』の面々の度肝を抜く状態だった。 「石のことならば、私にお任せください」  モリオンは、この少女に賭けてみることにした。王宮もまた、たくさんの石を集めて、困り事が起きている各地へ石を送り出す役目を負っている。もちろん、王宮内の生活を維持するためにも、たくさんの品質の良い石が必要だった。  資材部は、建築資材となる木材から武器となる刀剣、果ては中で働く使用人のためのエプロンや食材まで、あらゆる物を扱っている部署だ。しかし、その中でも最も重要視されているのは、石である。モリオンの心はすぐに決まった。  それから、十二年。身寄りのないルチルを王宮内で働かせるための段取りには、かなり骨が折れたが、こうして信頼できる部下に育ったことは大変喜ばしいことである。
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