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「まず、俺をナイフで刺して殺せ。銃声がするとあいつらは入ってくる。そうすればお前は確保される」 「そっか」 「だから、ナイフだ。それから、お前は銃で死ぬ。そうすれば突入になる。事件の終焉の合図だ」 「わかった。でも、こんなこと言っていいの?死んだとしても犯人を匿う罪にならない?」 「別にいい。俺は人に、お前に寄り添いたい。それは最期だって変えるつもりはない」 「そっか」 「あぁ」 今まで固い顔してたお兄さんが、ふっと笑った。 「あぁ、晴れてきたな」 「そうだね」 窓の外を眺める。空には虹がかかっていた。 「ねえ、お兄さん」 「なんだ」 「好き」 お兄さんが振り返る。目を見開いていた。 「気持ち悪い?」 「いや、全く。ただ、こんな奴を好きになる奴がいるとは、と意外に思っただけだ」 「俺もまさか警官のお兄さんをこの場で好きになるなんて思わなかったよ」 「そうか」 「うん」 笑う。 「こんな状況で、最期にこんな、ちょっと幸せって思うなんて。短い間だったけど、ありがとう、お兄さん」 「………あぁ」 「お兄さん、最後にね、お願いがあるの。キスしたい。死ぬ際、きつく抱き締めあっていたい」
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