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「で、ある日、わかっちゃったんだよね。親も同級生も先生も、バ先の上司も、みんな、僕の存在なんかあってもなくてもどうでもいいんだなーって」 「……それで立てこもりを?」 「まあそんなとこ。何か大掛かりな事件を起こせば絶対ニュースになる。こんな方法しかわかんない。巻き込んじゃった人質さんにはほんと、申し訳ないことしたなぁって。わかってるんだよ、自分勝手なのは。でもこうすれば、みんな僕を見てくれる。今まで僕を見てくれなかった人たちだって、“犯罪者の関係者”になったら僕を見ざるを得ないでしょ」 「……………そうか……………向けられるものが、軽蔑の目だとわかっていても?」 「……なに?説教したいの?他に方法はなかったのかとかって」 「別に。俺は説教には向いてないし、しようとも思わない。お前の傷に塩を塗りたくるのは趣味じゃない」 「ふーん。まあ、そうね」 少年はどこかすっきりしたように言って笑った。 「変なの。誰にも話したことないのに。お兄さん何かそういうパワーでも持ってんの?」 「持ってない。随分心を許されたもんだな」 少年はへへっ、と笑った。
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