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「警察としては、そうだな。俺はそれが嫌だ。立てこもりをしようが何しようが、一人の人間だ。その人間に向き合うのが俺のモットーだ。それを曲げるような組織には用はない」
少年はきょとんとした。
「揉めてんの?」
「え?」
「警察組織と」
「まあ、うん、そうだな……俺も上も互いに嫌いあってる」
「ふーん」
「まあ、興味ないか」
「いや、別に……………お兄さんはさ、何で警察官になったの?」
まさか俺の事を聞かれるとは思っていなかった。
「……そうだな………昔、俺が中学生の頃、無差別殺人事件があったんだ。連日何度も報道されるような、捕まった犯人が死刑判決を下されるような、そんな凶悪事件だった」
少年は黙って話を聞いている。
「テレビで見てただけだったが、強烈な怒りを覚えた。『誰でもいいから殺したかった』それが犯人の供述だそうだ。だが巻き込まれた側はたまったもんじゃない。どんな生い立ちや状況であれ、誰かを殺していい理由にはならない」
「………そうだね」
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