1-5 瞼の裏の世界

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 門番に話しかければ笑顔で対応された。貰ったギザ耳をさっそく身に着け、鏡を覗く。  ただの飾りなので動きはしないが、白い服に白い耳はなかなかいいんじゃないだろうか。うさ耳にツインテール。あざとい。  土偶の破片とウサギの毛は何となく雑貨屋に持って行ったら売れた。いわゆるゴミアイテムなんだろう。少しのゴールドが増えた。  狩りの最中、数をこなすほど非現実感は強くなった。いくら破片を拾っても鞄は重くならず、ヒール靴のまま土を踏みしめられたから。  だけどこうして町に戻ってのんびりしていると、異国に旅行に来た気分になる。オレはリアルで外国に行ったことはないけど、知らない土地への物珍しさと少しの居心地の悪さは共通だろう。  現実のオレは、仁の会社のベッドで寝ている。シングルサイズではない広いベッドは、ゲーム内で暴れたときに現実の体も動くからかもしれない。それでうっかりベッドから転落することもきっとあるだろうし。  そうして寝ているだけなのに、どうやってこの風を感じているのかわからない。前回と同じ暖かな日差しも。なんとなく果物売りの前を通った時に良い匂いがするのは錯覚なんだろうか。きっとこういう匂いがするって、脳みそが補正してるのかな。
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