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何に使うのかもわからないドロップを貯めつつ、ロッドを振り回す。
そこそこ長い時間やっていたものだからやることが適当になっていた。
ぐにっ
土偶とは違う感触が伝わってくる。瞬間目をやれば、ギザ耳ウサギがそこにいた。伸びた歯とともに口を大きく開け襲い掛かってくるのを振り払う。
緊張感はなかった。おそらく疲労からだろうが、前よりも力が抜けていた。3発で落とせると分かっているというのもあるのかもしれない。
再度の突進を盾で防ぎ、その体を横から殴る。
もやになり消えゆくウサギ。土偶と違って生き物を殴ってしまった感じは未だにした。盾には傷が少しついている。ほっとけば噛まれていたかもしれない。
「え」
一匹倒して終わりだと思っていたのに、少し離れたところのウサギがこちらに向かってきていた。その眼はまっすぐにオレを見ている。
「何で」
ノンアクティブじゃないのかよと動揺しつつ、突進を防ぐ。傾く体を足を引いて耐えた。地面を強く踏みしめる。ロッドを握り、突進が防がれてひるんだウサギを横殴った。
初心者向けウサギの行動は単純だ。盾を持っているオレなら何もダメージなんて食らわない。転ぶかもって思ったくらいだ。この白い衣装を汚したくはない。
何匹か続いてくるウサギを同じように倒す。ぴょこぴょこ距離を保つ姿は土偶と同じ動きだった。
「もしかして最初のネームドだったのか?」
ネームド。要するにちょっとだけ強い敵。もし最初にうっかり殴ったのがそうだったなら、周りの同族を引き連れていてもおかしくはない。そんなゲームはよくある。
積極的にではないもののアクティブになってしまったウサギたちを倒しきれば、門番からのクエストとしての数は足りたようだった。これでうさ耳がもらえる。
どれだけここにいたのかわからないが、所々に残るウサギの毛を拾い町に戻った。
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