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次の日の朝は、それでもしつこく口の中に残っていたベタつきのせいで早く目覚めた。アラームより三十分も前だった。これも遠く遡ればあの男のせいだと考えると、イラっとする。いつもなら起きてからしばらくベッドの上で転がっているのだが、なにせ口の中が気持ち悪かった。すぐにベッドから出て、歯を磨きにいく。二回入念に磨いたら、ようやくすっきりした。
珍しく朝に余裕があった。不幸中の幸いだった。ついでだからいっそ気合いを入れて、化粧でもしようかと考えたが手持ちのグロスがド派手な色しかないのを思い出して諦める。それに手間が面倒だった。誰に見せたいわけでもないことが輪をかけて、私を面倒がらせる。結局、開けたばかりの化粧ポーチをすぐに締め戻した。
もう何ヶ月も化粧から遠ざかっている。おかげさまで肌の方は調子がいい。こんなんでもまだ十七歳だ。セブンティーン。肌くらいは若いまま保ちたい。
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