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三日連続で同じカウンターに通す。私の帰ってもらう努力と資料探しに使った二十分は全くの徒労に終わった。早く来てもなんにもいいことないじゃない。愚痴を言いたくなりつつも、温かいお茶をいれて、受け取った資料と一緒に男の前に置く。
男はよほど寒かったらしく、お茶をすぐに飲み始める。飲み終わるのを待ってから話しかけた。
「すいません、伺いたいのですが……これはなんですか」
「……色々と調べて分析した結果です」
「はぁ」
「あの……はい」
「では、この数字はなんですか」
「最終評価点です。色々な条件から勘案して、点数をつけました」
全てにおいて、意味がわからなかった。たぶん私が理解するのはおよそ不可能なことだと思った。正反対、対極のところにいる人間だ。
「それで、これをどうしますか」
「……高得点の……」
「はい」
「……三つほど物件を見に行きたいのですが」
「あぁ、内見ですか」
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