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「……そうなんですか、えっとそれは失礼しました。………重ねて失礼ですがご年齢は」
「十七ですけど」
「……申し訳ありませんでした」
「大丈夫です」
男は首をすくめるように小さく頭を下げ続ける。
別にこれくらいのことは謝られるようなことだとは、思っていない。高校を中退する人なんか早々いないから、私がもの珍しいことはとっくに分かっている。それが世間様からおかしな目で見られることも同上だ。高校をやめて、働き先を探していた時に痛いほど理解させられた。
「あの、じゃあ……いいです」
男の声が小さく尻すぼみになる。一転、今度は落ち込んだらしい。こうまで分かりやすいと、なにもフォローしないわけにはいかなくなった。
「……でも、ただ測るくらいなら出来るかもしれません」
「あ……ありがとうございます。では、お願いできますか」
「はい」
これまでの内見とは全てが違っていた。途中でなにをしているんだろうとも思ったが、手伝うと言い出した手前自分からもういいですか、とは言い出せなかった。風呂場が終わると今度は洋室に移ってまた測り始めて、そのまま十二時過ぎ。
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