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いきなり、妹が台所のほうから、もう盆菓子を食べている、とぼくをとがめて声を上げた。
僕の隣にはもう誰もいなかった。
お母さんは甘いものが苦手で、砂糖のかたまりなどは、本当はあまり好きではなかっただろう。
送り盆の前に、明日あたり、イカの塩辛でもこさえようか。
ぼくはお母さんと同じ病気になってしまったけれど、今ではこれは、治る病だ。
病でも家のことをしたがったお母さんの気持ちも、今は分かる。生きていくには生きがいがいる。
お父さんはどこ行った。
また畑の裏で泣いているのか。
お父さんに明日はすき焼きを炊いてもらおう。
塩辛は、お彼岸でよかろう。
終
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