3-3 信じられると、ようやく思えたのに……/ありのままでいて

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「気分どうっすか?」 そう言われて、自分がついさっきまで吐き気と格闘していたことを思い出した。 でも、それは樹さんの車の中だった。 「あの……」 「何すか?」 「私と一緒に、男の人がいたはず……ですが……」 ふと、ここで嫌なことを考えた。 今日までの樹さんとの記憶は全部夢で、樹さんという人間は存在していなかったのでは……? 全部私が、ここで見ていた夢だったとしたら? 樹さんがいない世界が、私の正しい世界だったとして、私はその世界に戻ることができるのだろうか。 「男の……人……?」 吉川さんが、不思議そうな表情を浮かべて考え込んだので 「あ、いえ、大丈夫です!」 私に彼氏がいるなんて、私の妄想が見せた夢だったんだ……! そんな妄想に、看護師の方に付き合わせるのは申し訳ない! 「すみません私、夢を見ていたみたいで」 と大声を出した時、またくらっと目眩がして、目頭を抑えた。 「大声出さないでください。貧血の症状あるんで」 「貧血……?」 「そうです。血圧も低いし」 「え?そんな事あるんですか?」 「……はい?」 看護師さんの声に 「こいつ、何言ってるんだ」 という感情は含まれているのが、分かった。 「だって私……デブだし……」 「ああ……はいはい、そう言うことですか」 この説明で、看護師さんは納得してくれた……らしい。 とりあえず、状況把握だけはしておかないと……。 今までのが夢オチだったとしたら……今はいつだ? 服装を見ると、夢と同じ服を着ているから……秋冬か? 「それで私は……何でここに……」 私が看護師さんに尋ねると、看護師さんはじっと、私の全身を観察してきた。 (動物園のパンダの気持ちはこんな感じなのだろうか……) そんなバカな事を考えていると 「あんたが氷室先生を落とした女?」
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