1-3 人生最後のデートだと思っていたのに/必要とされたかった

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1-3 人生最後のデートだと思っていたのに/必要とされたかった

私は今、派遣のWEBデザイナーとして働いている。 すでに2年目に突入しており、派遣3年ルール適用まで1年切っている。 私の契約は有期雇用。 このタイプは同じ部署で派遣として働けるのは3年だけ。 その後同じ部署で働くには、正社員・契約社員・無期雇用派遣社員など……雇用形態を切り替えてもらう必要がある。 つまり、上の人に何らかの形で気に入ってもらい、必要とされなくてはいけない、ということ。 しかし、これまでのことを考えると、おそらく1年後には、この会社には私はいない。 私は、心のどこかで、この切り替えはないだろう、と諦めている。 それは、これまでの社会人経験を考えれば……自ずと検討がつく。 大学は「就職に良いから」という親の勧めで商学部に進学し、マーケティングを勉強した。 卒論も、マーケティングに関する内容を選んだ。 だから、何となく自分はマーケターとして生きていくものだと思っていた。 大学の成績は良かったし、教授からも筋が良いと褒められたから。 しかし、大学と企業の間では、大きな壁がありすぎた。 大学は自分でやりたいことを無理にでも選ばされる……自主性が重んじられる。 しかし企業には、そんな自主性はいらない。 企業にとって都合が良い人間しかいらない。 そして私は「見た目」だけで、都合が悪い人間認定をされるという強烈な洗礼を受けることになる。
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