ひとりぼっちのあいつ

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ひとりぼっちのあいつ

  ひとりぼっちのあいつ   あいつはいつも、一人だった。  子供の頃から、いつもあいつは笑っていたよ  僕が楽しそうだな、そうある時言うと。  嬉しそうな顔して、目を逸らしたよ    いつだか君の悩みを聞いた事があった、  僕が、話を聞いてアドバイスを君に出したんだ  すると君は血相を変えて、僕を叱ったよな  あの時は、こいつは何なんだと思ったよ。  けれどそのあとわかったよ、  君に僕から与える答えなんていらないんだってね  君はただ、誰かと話したいだけで、答えはもう出ているんだよな。    君はいつからか、よく爪を噛んでいる、  あの時の君は何か寂しげだった、  後に君から聞いた、あの頃は  親のことで悩んでいたってね。    君はいつもみんなに気を遣っていたな、  一人歩くのが遅い奴がいれば、みんなに気付かれないように  速度を落として、そいつを待っていた。  その時から感じていたよ。  偉そうで、馬鹿だけど  君は誰よりも優しい言って。  一人のやつを見捨てるようなやつじゃなかった  けれど、いつしか君は一人になった。  君は一人別の道へ行ってしまった。  君は変わっていた、僕は色んな君を知っている  家族の前では声を暗くしたり、  ある友達の前では、大声で話し  ある人の前では小声で内気になったり。  君は昔から、誰にも本心を見せない  だからみんな君の人生を聞くと、驚く。  それが辛いんだよな。  僕は君が求めるものを知っている、  君が欲しいのは、  君を愛してくれる人だ。  君の強さを求める人でも、  君の優しさを求める人でもない  君を抱擁してくれる人だ。  ある時君は言ってたよな  僕の夢は、誰かに抱きしめてもらって。  「もう、大丈夫だよ」そう言ってもらう事だって。  つくづく君は哀れなやつさ。  いつまでもガキな、  ひとりぼっちのお前。
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