バイトとバイトと試験と飲み会

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大事(おおごと)になってしまった。 トイレに伏せたまま、吐いたり唸ったりしているうちに気を失ったらしい。 全然覚えてないが、救急車が来たのだと聞いた。 トイレのドアを登って助け出してくれたのは健さんなんだって。 サークルの責任者(つまりタカさん)とお店、勿論だが、自分の酒量もわからないくせして調子に乗ってしまった馬鹿も警察の事情聴取を受けたりして大変だった。 今は入院3日目だった。 まだ腕の点滴も取れてない。 何故入院が長引いているかを言うと、てっきり飲み過ぎた末の急性アルコール中毒なのだと周りも自分も思っていたが、病名は過労だった。 何も不調を感じなかったのは差し迫る四面楚歌の状況で頑張ろうとするあまりにアドレナリンが出過ぎてナチュラルハイになっていたらしい。 しかし知らぬ間に体は悲鳴をあげていたのだ。 腎機能や肝機能は重病人の数値を示し、オシッコには血が混じっていたのだと聞いた。 おまけにノロウィルスに感染していたのだからそりゃもう駄目だろう。 入院した当初はトイレにも行けないくらいフラフラになっていたけど、2日もするとまあまあ回復したんだと思う。引も切らずお見舞いに来てくれる友達が有り難かった。 でもね、やらかしたんだって実感したのも確かだ。大学のサークルって思い思いの仲間が集まって勝手に活動しているんだと思ってたけど、大学に所属する公式の団体だったのだと思い知った。 大学からはタカさんを含むサークルの運営陣が謝罪に訪れ、申し訳なさと情け無さにちょっと凹んだりした。 同級生も来た。 迷惑を掛けたバイト先の同僚も来た。 いつの間にこんなにも沢山の友達が出来ていたのかと自分でも驚いた程沢山来た。 しかし、肝心の悟だけがまだ来なかった。 5日間の入院中、ずっとずっと部屋の入り口を気にしていたけど、とうとう悟が顔を見せないままで退院の日を迎えてしまった。
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