1ヶ月後、そのまた1ヶ月後。

2/3
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
そしてその男性に初めて宅配してから5年経った頃のコト。  宅配を受け取ってくれたのはどこか見覚えのある女性でした。  「どうぞ」と渡すと「ありがとうございます」と微笑んでくれました。  それは間違いなく、あの時の女の子です。  あれから7年経って再会できたのがなんだかとても嬉しくて、泣きそうでした。  立派になった彼女は、それを抱えて家の中に入っていきました。    僕がこの家に配達する荷物が、年々重くなっていると感じました。    それまで何を配達しているのか気にもしていませんでした。  何か器具でも入っているんじゃないか、そんな重みです。  その1ヶ月後もまた、彼女が出てきました。    すっかり顔見知りになって、彼女と会うたびに心が明るくなります。  でも、だんだんとそんな彼女の笑顔は、曇っていきました。  あの時の曇り方とは訳が違いました。  以後、僕が宅配すると、決まって受け取るのは彼女でした。  もう、あの男性が僕の前に現れることはありませんでした。  前よりも、その家は寂しげに見えて、彼女も少し悲しそうでした。    
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!