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思わず目をつぶっていたところ、突然静かになった。 ピヨピヨピヨ、と小鳥の声が聞こえ、穏やかな風が吹いた。 少しずつ目を開けると、今度はカラフルな花が広がる丘の上に来ていた。 見たことのない蝶たちが 花の蜜を吸っていたり、ぱたぱたと舞ったりしていた。 「ここはどこですか?」 「わしもずっと来てみたかったところじゃ。  探せばこういう場所もあるものだ。」 「あの、あなたはどういう神様なのですか?」 「もう少ししたらわかる。」 「それはどういう、…。」 もう、聞かないことにした。今はこのどこかはわからないけど私がずっと求めていたいろんな景色に浸って、目に焼き付けて、あとからでも楽しめるようにしようと思った。 花たちが風に揺れて、まるで話をしているようだった。 蝶々の羽根や花びらは太陽の光でやや透けて見えて、なおさら美しかった。
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