あの人に会う

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あの人に会う

その人は、色白で、整った顔立ちをしていた。 微笑んでもいないのに優しげな表情に加え、ぷっくりと小さなくちびると、ほんのりと桃色に染まった頬。 髪は(カラス)のように真っ黒で、そのコントラストがまた美しかった。 唐代のお姫様のような服装に、羽衣を身にまとっており、まるで…。 「織姫!?」 「おじさん!おひさしぶりですね。お元気でしたか?」 お、じ、さ、ん? 「やあ、久しぶりじゃの。彦星くんとは会えたか?」 「はい。雨が降って川の水かさが増して今年は会えないのかと一時は不安にな  りましたが、カササギたちが橋をかけてくれたのです!」 「そうか!それは良かったのぅ。」 彦星…。 「今度は一体どこに行ってらっしゃったんですか?いつも急に戻ってきては、  またどこかに行ってしまわれる。そこの書斎もほとんど使われてないじゃあ  りませんか。」 「そのへんをぶらぶらとな。わしを邪魔者扱いしおってぇー!」 「そんな…。違います!私は、おじさんが心配で…。」 「わかっとる、わかっとる。冗談じゃ!  そなただけじゃ、よくしてくれるのは。いつも感謝しとる。」 「あら?その方は?」 「おお、おお!言い忘れておった!  この子は下界から連れて来た者でな、旅をしたがってたんじゃな。  わしもちょうど一人じゃ味気なくて、誰か共に旅をしてくれるやつはおらん  かなーと思ってたところじゃったから、誘ったんだよ。」 「そうですか。さあさあ、そこの干菓子でも召し上がってゆっくりしてくださ  いな。おつかれでしょう。しかし、おじさんはまた勝手に下界から人を連れ  てきて、お父様から叱られますよ。」 「良いのじゃ良いのじゃ。どうせわしは昔から旅ばかりして神らしいことを何  もしとらんから、評判が悪い。人間にも知られとらん。兄上から少しくらい  文句言われても大して変わらんよ。」 「まあ!でも、今回はこの方の願いを叶えて差し上げたわけですから、神のな  すべきことをなされたことになりますね。」 「たまたまじゃな。」
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