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初めに
私は澄んだ空の日に子供を亡くした。
2021年、八月。
自分自身も長くはない。
私は闘病してきたガンとの闘いに疲れで、緩和ケアを選んだ。
先に死ぬのは私だと思っていた。
親より先に死ぬなんて親不孝にもほどがある。
たくさん泣いた。
ダムに溜まっている水が放水をしたかのように。
私の中の潤った成分というものは無くなった。
空に旅立った子の名前は澄空。
四歳。
たった五年。五年しか生きられなかった。
このご時世ならでわで死因はコロナ肺炎。
マスクをつけて生活をしていた。
だが、私が末期がんで自分の事に精一杯で一緒に生活出来る余裕が無く、泣く泣く私の妹に息子を預けていた。
息子は保育園にも行ってなく、来年から幼稚園に行く予定だった。
楽しみにしていた。
妹の娘が保育園で、コロナを貰って帰ってきた。
これはヤバいとすぐに澄空をお義父さんの所に預けた。
お義父さんはワクチン接種済みだから大丈夫だと言ってくれていた。
私はその言葉に甘え、我が子の心配を一旦はやめた。
何故なら終活をしなければなかったから。
要らないものは捨て、この世に未練などないようにしとかなければという思いでいっぱいだった。
今あるものは、後悔の念。それだけ。
死に顔も見れなかった。
私が見た澄空の最期の顔は、
「ママ、頑張ってね。いってくるー」
その時に見せてくれた笑顔だった。
生で見たのはそれが最期でした。
自分の身など削って息子の為と一緒に居てやればよかった。
もう、息子には会えない。
「待っててね」
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