初めに

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広いマンションへの引越しは諦め、今まで通りのつつましく平凡な生活をしていた。 辛いのは先が短いと言うことでそれ以外はない。 子供たちの成長を見届けることが出来ないという悔いが残る事。 荒れた生活を恨んだ。 それでも時間が帰って来ることはないので、前を向いて生きようと私は決めた時だった。 コロナ禍になり感染予防も十分していた。 それなのに息子は簡単に逝ってしまった。 色んな事が彼の未来にはあったはずだ。 私よりも長生きし家族を作るはずだった。 このご時世のせいで澄空(すかい)は逝ってしまった。 夢にも良く出てくる。 あの日あの時、笑ってくれていたなぁと。 いつも笑顔で私の小さな王子様だった。 少しマザコンなのかなぁ。 シスコンなのかなぁ。 心配事もあったけど、生きててくれれば嬉しい心配事だった。 でももうこの世には存在しない。 私の大切な息子、澄空(すかい)。 もう直ぐ逝くから待っててね。
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