開店

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ウカさんが来るなら座敷童のまりちゃんも姿を見せるかもしれないし、まりちゃんが喜ぶのは白米で作った塩むすび。 そちらは土鍋で炊こう。 そうこうしているうちに、暖簾を出す時間になる。 店内に置いてある暖簾を手に外に出ると、ちょうどヤタが降りてきたところだった。 ヤタと俺は呼んでいるが、本当はヤタガラス。 タカさんこと高御産巣日神様が道案内にと遣わしてくれているはずの神の遣い・・・なんだが。 「ギャア!今日もどうせ客は少ないだろう!暇なときに人間は悪さに走ると言うからな。俺様が見張っていてやるぞ、ギャア!」 本人は監視が役目だと思っている模様。 何度も何度もタカさんたちがそうじゃないと教え込んでいるのに、やっぱり鳥頭というやつなんだろうか。 あと、ヤタがいてもいなくても、俺が悪さに走ったことが一度でもあるか。 「聞き捨てならんな。泉実の中に悪に通じる点が微塵もあるはずもない。」 突然上空から現れた常連のミハイさんが、ヤタの首をむんずと掴んだ。 ギャアギャアと喚くヤタ。 ご近所迷惑なので止めてほしい。 とはいうものの、最近この周辺も高齢化が進み空き家が目立つので、そんなに迷惑にはならないと思うが。 そして、何といっても空き家になった場所を片っ端から買い占めている似非不動産屋がいる。 目の前に。
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