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カウンター席は全部で7席。
入ってきた二人は、入り口から一つ開けて並んで座った。
二つ開けてウカさんとミハイさん。
何だ、この構図。
2人グループが二つできたみたいになってるぞ。
ウカさんの行動が不審だが、きっと何か意味があるんだろう。
俺は二人の前におしぼりとつき出しと箸を出した。
「何かお飲みになりますか。」
そう尋ねた俺に、一度座った女性が立ち上がる。
「あの、あの、その節は祖母と曾祖母がお世話になりました!」
「は?」
女性の言葉に俺がぽかんとなる。
祖母と曾祖母?
それは一体誰のことだ?
女性は、ショルダーバッグの中から名刺を出して俺に見せた。
これは確かにこの店の名刺だ。
かなり古いが、いつ誰に渡したものだろう。
「ええと、烏丸さんでいらっしゃいますよね。」
「はい、そうです。申し遅れました。店主の烏丸泉実です。居酒屋まるの店主をしております。」
俺が頭を下げると、女性も慌ててぺこりと礼をする。
「四屋敷百々と申します。あの、昔祖母がこちらに来て大変お世話になったと聞いています。あと、烏丸さんが私の地元に来たときに曾祖母と偶然お会いしたそうで、今も毎年年賀状を送っていただき本当にありがとうございます。」
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